Nojikasというバンドについて

 

    ひらたくいえば高校の卒業制作的なものとして、そして4月から始まる精神的に地獄のような生活に赴く際の冥土の土産的なものとして、なにか少しでも残せるものがあればと思い、いくばくかの使命感に突き動かされ、インタールードを含んだ全8曲の私的なミニアルバムをひとつ制作した。

1.振幅 02:10
-レギュラーチューニング
2.実験 02:52
-2弦以外を半音下げ、3弦をさらに半音下げ
3.変質 03:13
-2音下げぐらいのダウンチューニング
4.過去東京 01:01
5.アウトサイド 01:59
-3弦1音下げ、2弦半音上げのカポ1
6.猿真似 01:51
-FG#C#FCC#のカポ5。ずっと前に作った曲をアレンジしただけなので猿真似
7.蛇足 00:43
8.音楽のない街 03:29
-レギュラーチューニング。2番目の『壁の花と踊る』がお気に入り。かなり前に編み出した曲なので、めちゃくちゃ簡単だが、意外と昂奮できる。

それにおいて私はこのきわめて奇っ怪な演奏をするバンドに名前をつけねばならなかった。Nojikasといういかにももあほらしいバンド名である。名付けに悩んだ私は、馬とも牛ともつかない有蹄類の顔面から角が木の枝のように広がった電波傍受をするトナカイの絵に着想を得た。これはまだいとけない従姉妹との共作による偶然出来あがった落書きであった。電脳サーチをしてみるとどこかの国のラストネームと思しき検索結果を得たのであるいはこれをその理由としても良い。なんにせよ語呂や字面がそれっぽい風をしているというだけで冠した無意味的な記号のようなものである。この機会に乗じアーティスト写真なるものを描いた。これは大学の近くのある動物園に住んでいるカンガルー達とそのアスレチックのような木造の棲家をトレースし加工したものである。しかしまだ便宜的にバンドと称する道具はあれど未だにこのバンドのメンバーはギターの私一人であったから、そのため私は何百ドルを賭して非常に強力なリズム隊のメンバーを招聘しなければならなかった。ゴリアテ田中(Ba)とDJアディクティブ吉澤(Dr)という2人である。この二人はまるで機械のように、私が指示したフレーズとリズムを寸分の狂いもなく再現してしまう、ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉さえもその器には小さすぎるような、あまりに無尽蔵の実力を兼ね備えた最強のリズム隊であった。一つ難点を挙げるとすれば、彼らは電脳世界のAIを通じてしか現れてくれない非常にシャイボーイな性格の持ち主であるということだった。

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    これらの音源は、ほとんどが昨年から今年にかけて制作されたものだが、おそらく高校一,二年生の、いつ作られたのかもわからないような昔に制作された音源も再録している。
ミックスダウンやマスタリング、音の定位も完璧にはこなせてはいないものであるし、ただ煩雑としていて、とてもお世辞にも良いアルバムができたとも思えないが、このアルバムが完成した当初は、漫然と曲作りをするだけでは得難い感慨がしたたかに湧いてきて、しばし耽っていたものである。そして、この蕪雑とした音楽は、果たしてどのように捉えられ、どのような評価が下されるのだろうかといささか不安になった。
    ともあれ、自らのつくりたい音楽、あるいはそれしかできないような音楽を突きつめていった結果、このような音楽が生まれたのであるし、今後も飽くことなくそれらを追求していくのだろう。この楽曲軍は、誰かをあっと言わせてやりたいという密やかな野望と、そしてねじれた承認欲求を内包した自慰的な行いの所産である。とりもなおさずそれは自らの音楽製作における非常に大きな動力源であり、ひとつの一里塚である。それらが取り除かれてしまえば(バンドを組んでライブでもしない限り)、おそらくあとには何も残らないのではないかと思ってしまうほどである。

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Nojikasというバンドについて」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: Nojikas – 解体 Disintegrations – 教室Iの一隅

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