[いかにもモテなさそうなダサい格好で]月録 2016/09-11

雑記(見慣れぬバスが向かうのは)
–ずいぶん前から密やかに楽しみにしていたアーティストライブを観に、伴侶もなく一人で学園祭に赴いた。このような学校行事が開催される度にいつもつくづく感じるのは、人と集まって楽しく遊ぶことや、イベント自体を楽しく過ごすという才能が自分には全く欠如しているということである。たとえば、あのように学生服や某キャラクターのコスプレをした売り子たちや、また露天裏でふざけ合ったり、友達のライブを見ながら駄弁り盛り上がっている連中には決してなることのできない高くそして厚い壁があるように感じてしまうのである。
ライブ鑑賞後、いくばくか予想外だったのは、もうすっかり日が短くなっていることと、学校の校舎の並木がすでにクリスマス仕様に扮しているということであった。これがかなりボディーブローとなって、自転車で帰途に就くころには自暴自棄に陥っていた。とはいえ、学園祭のときに話しかけてきた見知らぬ眼鏡の奴と音楽の話で少しだけ盛り上がったという、嬉し良きこともあった。しかし、LINEを交換したのち、話をしているうちに宗教勧誘の可能性が急激に濃厚になって、また悲しくなった。



搖れない車輌内にて


​甲之助「先日ね、僕は何時もの様に最寄りの驛へと向ったんですよ、そしたらね、僕はトンデモない美女に出會ってしまったのですよ……それはそれは正に天地が飜ってしまうような美女でありましてね、僕はね、閉月羞花なんていう馬鹿みたいに仰々しい言葉を一生使うものかと思っていたんですけどね、もうそう言わざるを得ないような――私はその美貌に思わず目を逸してしまいました――彼女はまさにその權化であり生き寫しのようでしたよ……ええ、しかもなんと彼女はまだ女校生なんですよ!君はセイラァ服がもたらす美の魔力は知っていますか?そうです、どんなに器量の惡い女でもたちまちにして一回りも二周りも可愛らしくしてしまう、或いはその様な錯覺をいとも容易く生み出してしまう眩暈の裝置です――そのような恐ろしい禁斷の衣を纏ってしまった彼女は、その素の極めて美しい妖冶な姿態と相まって、國家さえ搖るぎかねない凛とした美しさを持っていたのです……まさに傾國の美女の現代版ですよ……しかも彼女はその美貌を鼻に掛けることはない――何故なら、それは彼女自身が體現しているからです。彼女は透明そのものでしたから――まるで私がいかにも穢らわしい存在であるかのように――僕は彼女を見た瞬間に絶望しました。このような鄙びた界隈にこのような美女が居るという絶望、私がどれほど頑張ってみたところで彼女をものに出来ないという絶望、そして――そうです、彼女の存在そのものに對する絶望です。今述べた絶望の総てがこれに收斂されるでしょう……私の存在など彼女の美しさに比べてしまえば、塵(ごみ)屑にも取るに足らない存在であることを痛切に思い知らされます。
彼女は、私らが一生向き合って行かなければならないあらゆる構成要素を、その端正な顏貌によって否定し、いささか掛かったその歪曲した主観的なヴェールを削ぎ落としてしまうような殘酷な存在でした。それだけではないのです。私の未來に起こる肯定的な出來事のすべては、彼女によって絶望しうることが可能になってしまったのです。これは由々しき出來事ではないでしょうか……私は恐ろしいですよ。こんな繰り言をつらつらと垂らしている今にも彼女は襲ってくるのです。アァ、私はもう考えることを止めたいです。一生考えることなく生きていけたら、どんなに樂なことでしょうか……」

乙太郎「ワハハ、傾國はおろか閉月羞花の權化だって?君も目出度い人間でありますなァ。一度この目で見てみたいものですよ。ところで、殘念なことに人間は思惟の一切を永遠に止められるほど器用で馬鹿な生き物ではないのですよホゲホゲ……」

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